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ホームの数字・経営チェック
もも編集室のセミナー参加者の方からのご質問で大変多いのは、
「どうしたらホームが倒産しないかわかりますか」
というものです。しかし、「倒産しないホーム」は絶対ありません。
大企業でも、昨今では自治体でも破たんする時代です。老人ホームとはいえ民間企業の運営、入居前にできるだけのことはチェックしておきたいものですが、なかなか簡単なことではありません。

しかしながら、少しだけヒントを解説してみましょう。
ただし確実な判断方法ではありません。目安として最終的には自己判断をしてください。



■有料老人ホーム運営にはお金がかかる!!

有料老人ホームホームの運営は、大きな金額が必要です。
  ◆ハード面
    ・土地の取得と建物
    ・高額な介護用設備

  ◆ソフト面(人件費)
    ・手厚い介護には介護職員の数の確保
    ・看護師、PT、OTなど医療面での有資格者
    ・病院との連携
    ・職員の品質向上のための研修など

昨今は、土地建物は運営者が取得せず、賃貸で運営するケースも増えています。これは経営の効率化とも考えられます。初期費用を軽減することができても、運営を維持していくには、さまざまな費用や仕組みが必要です。



■運営が苦しくなる事情?

ホームページ上でも、有料老人ホームの売買(M&A)について情報が掲載されています。
また、編集室スタッフも安定した経営をしている各事業者の方から「売却を持ちかけられている」という話をよくお聞きします。どのような事情があるのでしょうか・・・

 ○入居率が低く資金繰りが行き詰った
 ○競合が激しく将来の経営に悲観
 ○事業を承継する後継者がいない
 ○売却したほうが儲かる(ファンドの出現など)
 ○親会社(関連会社)の意向

などです。



■ホームの経営状況で考えておきたいこと

●倒産・閉鎖は避けたい!
倒産するときはよほどのとき ・・・通常は別企業が事業を買い取って運営を続けますので、本当に閉鎖というケースはまれです。とはいえ、過去閉鎖になったケースもありますですので、やはりできるだけ事前に経営状況は確認し、入居後も運営懇談会などで引き続き状況を把握しておきたいものです。
運営が苦しくなりはじめると、ホーム内の雰囲気も変化することが多々あります。職員にも不安や動揺が見られますし、環境悪化の場合は注意が必要です。
さらに、ホームの運営会社に親会社や関連会社があり、本業などで問題が起きた場合、影響を被ることもあります。ホーム自体だけではなく、経営母体の様子も気にしておきたいものです。

●M&Aなどで別経営になることは、一概に悪いとはいえない
前経営者のもと経営状況が悪化していたものを、経営者が変わることで改善される場合もあります。また、それにともないサービスが改善されることもあります(ただし逆に悪化することもないとはいえません)。
マイナス点としては、慣れ親しんだホーム名が変更されたり、イメージ自体が変わることも。長らくの運営実績があり、安定した運営を続けているホームでも、後継者がいないため他の事業者に売却された例も少なくありません。



■入居率を調べる

ホームの状況を見るには、ひとつは「入居率」があります。
下の表は、某県が開示していた情報をもとに、開設1年以上経過していながら入居率が80%以下のところを並べてみました。この県では、開設1年以上経過していて80%以下のホームが24%、4ホームに1ホームの割合で、入居率があまりよくないということがわかります。
また、下の表からは、50%以下などのところも見られ、このホーム単体では、経営が厳しいことが窺われます。

入居率をみるときの注意点は、以下の点を考慮しておきます。

  1.開設してすぐは入居率が低くて当たり前。1年後くらいの状況で判断する
  2.事業者が複数ホーム運営している場合、他のホームの状況も見る
  3.入居率が良くなくても持ちこたえるだけの母体の力があるかどうか見る

あまりに長らく入居率の低い状態が続いていると、赤字が続いているということにもなります。入居率は分かりやすく調べ安い数字のポイントです。


老人ホーム:入居率


■財務諸表を見せてくれるかどうか

経営の数字をまとめた「財務諸表」は、開示義務はありませんが、行政も要望があれば開示し、希望があれば複写したものを配布するよう指導しています。昨今の情報開示の流れから、まずは「財務諸表を見せてほしい」希望を伝えることも一つのチェックポイントとなるでしょう。財務諸表は難しい内容ですので、わからない方も多いのですが、わかる・わからないは別として、「見せてくれるかどうか」をテストしてみるのです。

人間の心理として、悪いものは見せたくありません。正当な理由のない拒否であれば、経営状況に疑問をもったほうがいいかもしれません。

財務諸表には以下の3つがあります。
 ・損益計算書    ・・・ 1年間の収支 (家計簿のようなもの)
                その年が赤字か黒字かがわかります
 ・貸借対照表    ・・・ 決算時点での財政状況
                現金や土地などがどれくらいあるか、借金がどれくらいあるか
                などがわかります
 ・キャッシュフロー表 ・・・現金の流れがどうなっているかがわかります


●財務諸表の簡単な見方

1)資本金を見る
資本金の額が大きいから良い、小さいから悪いと一概には言えませんが、資本金とは返金する必要のないお金なので、少ないより多い方が安心感があるでしょう。

2)負債(借金)を見る
負債は流動(1年以内に返すお金)と固定(長期で返済するお金)に分かれています。流動が多い場合は、左側の流動資産(1年以内に現金化できる資産)との比率を確認してみます。流動資産より流動負債が多い場合は、お金の返済をどうするかが問題です。返済のために借金をするのか、営業環境が改善するのか、が必要でしょう。



  貸借対照表
貸借対照表
左(流動資産と固定資産)と右(流動負債と固定負債、純資産)の合計が同じになる
また、キャッシュフロー表で、現金の流れを見ることも大切です。帳簿上は黒字になっていても、実際のお金の流れが滞っていて「黒字倒産」ということもあります。 できれば、財務諸表はわかる人に見ておいてもらいたいですね。


■数字以外にもチェックしておきたい

数字以外にもそのホームの運営に繋がるサインはいろいろとあります。

●情報開示の姿勢  
既述していますが、まずはオープンにする姿勢があるかどうかを見ましょう。

●入居の勧誘
しつこい勧誘や強行な営業活動は、ホームの経営が困っているケースが多くあります。
営業の姿勢も要チェックです。特に「早く決めないと部屋が埋まる」というような急がせる話のときは、問題です。

●ホーム現場の職員の対応
運営が安定していないホームの職員は、不安や疲れが表情に出る場合があります。
職員がイキイキと働けているかどうかもチェックポイントです。

●ホームの清潔(衛生)度
老人ホームは場所がら、清潔に保ち感染などを防止しなくてはいけないところです。
汚れや臭いが目立つようなら、きちんと管理運営されていない証拠です。
 




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